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浅草六区 - 「モンアサクサ」 坂口安吾 1948(昭和23)年1月25日

  • 執筆者の写真: 浅草文庫
    浅草文庫
  • 2018年10月7日
  • 読了時間: 1分

 浅草の芸人諸君は、何かというと、これはウケルね、という。つまり、ウケル、とか、ウケナイ、ということが身上で、これはどこの芸人でも、そういうものであろうけれども、浅草のウケル型というものがきまっていて、これは浅草でウケル型、これは新宿でウケル型、そういう型があり、その型と狎れ合って、型通りの芝居をすればよかったのだ。そういう型がなくなったのだ。


 きまった型の中でやっていたのでは、浅草の芸人であるだけで、それ以外のものではない。こういう型が通用しなくなったということは、浅草の一進歩で、これからが、むしろヤリ甲斐のある仕事というものであろう。


 恋々と昔の型や、昔の浅草にとらわれていては、だめである。浅草の人たちが、このことに気付いて、新風に思いを凝らしはじめたことは結構で、なんといっても、古い根のある土地柄だから、心機一転、身構えを変えれば、立直るだけの素質はそろっている。





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