『歌沢新内の生粋を解せずして、薩摩琵琶浪花節の露骨を喜び、旧劇の渋味をあざけりて壮俳の浅薄を賞す』と「浅草繁盛記」の著者がいくらそういっても、いまのその「新しい浅草」の帰趨するところはけだしそれ以上である。薩摩琵琶浪花節よりもっと「露骨」な安来節、鴨緑江節が勢力をえている。そのかみの壮士芝居よりもっと「浅薄」な剣劇が客を呼んでいる。これを活動写真のうえにみても、いうところの「西洋もの」のことにして、日本出来の、なにがしプロダクションのかげろうよりもはかない「超特作品」のはるかに人気を博していることはいうをまたない。
top of page
bottom of page
コメント