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浅草六区 - 「如何なる星の下に」 高見順 1939(昭和14)年1月-1940(昭和15)年3月

  • 執筆者の写真: 浅草文庫
    浅草文庫
  • 2018年10月25日
  • 読了時間: 1分

「○○君は死んだ?」

 大きな声で、降りてきたのに言った。

「いいや、まだ殺されねえ。――でも、もうすぐ殺されるよ」

「そうか。しからば、急いで食わざなるめえ」


 ――芝居の稽古であった。一座を組んで、出しものを用意して、映画館のアトラクションとして売り込もうというのであった。その役者の一人が、お好み焼屋の二階に間借りしていたので、とても稽古場にならない狭い二階だったが、席料を取られないところから、借りたのであった。二階にいるその役者は末弘春吉といって、私は下の火鉢で顔なじみであった。浅草に住んではいるが、公園の舞台とは関係のない恵まれない役者であった。そうした役者が老若男女を問わず、公園の周囲に数えきれないほどゴロゴロしている。……





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