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浅草六区 - 「明治開化 安吾捕物 その四 ああ無情」 坂口安吾 1951(昭和26)年1月1日

「どうかカンベンして下さいまし。奥さんからいつも駄賃をいただいておりますし、こんなことが起りましたので、怖しくて、正直に申し立てることができませんでした。三筋町のお師匠さんへ行ったというのは真ッ赤な偽りで、いつも真ッ直ぐ浅草へ参っておりました」 「いつも二人で新開地へ行ったのかね」 「いいえ。吾妻橋を渡って仲見世の中程から馬道の方へまがってちょッと小路をはいりますと、露月というちょッと奥まった待合風の宿がございます。奥さんは真ッ直ぐここへお這入りになる。私は新開地へいっていつもブラブラしていました。荒巻さんはいつも飛龍座にいますから、奥さんと打合せのない日は、私が行って知らせますし、用がすんで奥さんが帰る時は荒巻さんが戻ってきて知らせてくれます」





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