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矢場・弓場 - 「如何なる星の下に」 高見順 1939(昭和14)年1月-1940(昭和15)年3月

「昔の文士は浅草の矢場でなかなか遊んだものらしいですな」

と、言葉をつづけた。

「美妙斎などは矢場の女と問題をおこしたり、――その美妙斎に矢場遊びの手ほどきをしたのは、なんでも幸田露伴だという話だが、露伴というのは、当時矢場の遊びやそのあとからできたいわゆる銘酒屋をひやかすそのうまさにかけては、美妙斎などとてもおッつかない遊び人だったそうで、今の露伴からは想像もつかんことですな」

「なるほど」

「どうです。ちょっとした随筆のネタになるじゃないですか。奪っちゃいやですよ。――いや、書いたってかまわんです」

「…………」





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