隅田川・大川・本龍院(待乳山聖天) - 「水の東京」 幸田露伴 1902(明治35)年2月
- 浅草文庫
- 2018年10月2日
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待乳山は聖天の祠あるをもて墨堤より望みたる景いとよし。あはれとは夕越えて行く人も見よの茂睡の歌の碑は知らぬ人もなく、……の多き文章を嘲つて、待乳山の五丁の碑ぢやアあるめえし、と某先生が戯れたまひしその碑の今に立てるもをかし。こゝの舞台は隅田川を俯視すべくして、月夜の眺望四季共に妙に、雪のあしたに瓢酒を酌んで、詩を吟じ歌を案ぜんはいよ/\妙なり。仙骨あるものは登臨の快を取りて予が言の欺かざるを悟るべし。

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