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「浅草とは?」・屋台・夜店 - 「夜店ばなし」 久保田万太郎 1931(昭和6)年7月

  • 執筆者の写真: 浅草文庫
    浅草文庫
  • 2018年10月1日
  • 読了時間: 1分

 いまなら、さしづめ、傾いた月の、明易く曳いた横ぐもの、ふか/″\とこめた梅雨どきの蒼い靄の、さうしたいろ/\の触目のあはれは、夜店の、夜あかしの、さうしたいろ/\の喰物やの屋台の外にこれをみ出して、一層そこに強められ、あるひはふかめられるだらう。……そのいのちに触れるからである。うきくさのその果敢ないいのちにはツきり触れるからである。……といふことは、わたしをしていまいはしめよ。夜店の、夜あかしの、さうした喰物やこそ、休息した東京の、疲れ果てた東京の、見得も外聞もふり捨てた東京の、うそもかくしもないそのすがたをさういつても寂しく語るものである。




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