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「浅草とは?」・江崎写真館・仲見世 - 「砂がき 夏の街をゆく心」 竹久夢二 1940(昭和15)年10月15日

  • 執筆者の写真: 浅草文庫
    浅草文庫
  • 2019年7月21日
  • 読了時間: 1分

更新日:2019年7月25日

 淺草も變つた。仲店の、あれも虎の門や上野の博物館や銀座や十二階とおなじ時分に出來たと思はれる赤煉瓦の長屋の文明開化趣味も、もうなくなつた。いま新しく建築中だがこんどはどんなものになるだらう。安い西洋菓子のやうな文化建築をデコデコと建て並べなければ好いと案じられる。仁王門のわきの久米の平内から辨天山のあたりは、やはり昔ながら、木立が芽を出して、銀杏の木も火にも燒けずに青い葉をつけてゐる。觀音堂の裏の、江崎寫眞館も赤煉瓦だけ昔のまま殘つたがあのあたりはすつかり變つたものだ。どぶを隔てた金田の前の廣い道も、どぶのわきの柳の並木も、燒かれて伐られて昔の面影はない。花屋敷のうらから十二階へ拔ける。裏路のわきの泥溝も今は跡がない。





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