隅田川・大川 - 「東京短信」 小熊秀雄 1935(昭和10)年浅草文庫2018年9月26日読了時間: 1分隅田河 隅田河 腐臭は 水面をただよひ 罐詰のカン、 赤い鼻緒の下駄、 板つきれ、 ぐるりばかりになつた麦藁帽 青い瓶、 などがポカンポカンと浮いてくる 市民の生活の断片と 人間の哀しい運命の破片 波は河岸を 汚れた舌のやうに ひたびたと舐めてゆく 浅草文庫 「東京短信」 小熊秀雄 1935(昭和10)年
隅田川・大川・屋形船 - 「残されたる江戸」 柴田流星 1911(明治44)年5月川びらきの夜に始まりて、大川筋の夕涼み、夏の隅田川はまた一しきり船と人に賑わうをつねとする。 疇昔は簾かかげた屋形船に御守殿姿具しての夕涼み、江上の清風と身辺の美女と、飛仙を挟んで悠遊した蘇子の逸楽を、グッと砕いて世話でいったも多く、柳橋から枕橋、更には水神の杜あたりまでも
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