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鳩・宝蔵門(仁王門) - 「心眼」 初代 三遊亭圓朝 1891(明治24)年?

梅「南無大慈大悲の観世音菩薩……いやア巨きなもんですな、人が盲目だと思つて欺すんです、浅草の観音さまは一寸八分だつて、虚言ばツかり、巨きなもんですな。

近「そりやア仁王門だ、是から観音さまのお堂だ。

梅「道理で巨きいと思ひました……あゝ……危い。

と驚いて飛下る。

近「フヽヽ何だい、見ともない、鳩がゐるんだ。

梅「へえゝ豆をやるのは是ですか……鳩がお辞儀をして居ますよ。

近「なに豆を喰つてゐるんだ。

梅「異つたのが居りますね、頭の赤い。

近「あれは鶏鳥だ……ま此方へおで、こゝがお堂だ。





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鳩・見世物 - 「鴎外の思い出」 小金井喜美子 1955(昭和30)年10月

お堂を降りた処には筵を敷いて、白髪の老婆のどこやら品のあるのが、短い琴を弾いて、低い声で何か歌っていました。小さな子が傍にいて、人の投げてくれる銭を拾います。琴は品のよい楽器で、立派なお座敷に似合うように思いましたのに、何という哀れな様子でしょう。琴糸は黄色なものと思っていまし

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