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仲見世 - 「​浅草公園 --或シナリオ--」 芥川龍之介 1927(昭和2)年3月14日

 目金屋の店の飾り窓。近眼鏡、遠眼鏡、双眼鏡、廓大鏡、顕微鏡、塵除け目金などの並んだ中に西洋人の人形の首が一つ、目金をかけて頬笑んでいる。その窓の前に佇んだ少年の後姿。ただし斜めに後ろから見た上半身。人形の首はおのずから人間の首に変ってしまう。のみならずこう少年に話しかける。——

「目金を買っておかけなさい。お父さんを見付るには目金をかけるのに限りますからね。」 「僕の目は病気ではないよ。」



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