玩具・仲見世 - 「諸国の玩具 --浅草奥山の草分--」 淡島寒月 1909(明治42)年6月
- 浅草文庫
- 2018年9月15日
- 読了時間: 1分
更新日:2018年9月26日
それからこの間仲見世で、長方形の木箱の蓋が、半ば引開になって、蓋の上には鼠がいて、開けると猫が追っかけて来るようになっている玩具を売ってますのを見たが、これは僕の子供の時分に随分流行って、その後廃たれていたのが、この頃またまた復活して来たのですな。今は到底売れないが昔亀戸の「ツルシ」といって、今張子の亀の子や兵隊さんがありますが、あの種類で、裸体の男が前を出して、その先きへ石を附けて、張子の虎の首の動くようなのや、おかめが松茸を背負っているという猥褻なのがありましたっけ。こんな子供の玩具にも、時節の変遷が映っているのですからな。

Commentaires