凌雲閣(浅草十二階) - 「大東京繁盛記 下町篇 本所両国」 芥川龍之介 1927(昭和2)年5月浅草文庫2018年9月17日読了時間: 1分 僕は浅草千束町にまだ私娼の多かつた頃の夜の景色を覚えてゐる。それは窓ごとに火かげのさした十二階の聳えてゐる為に殆ど荘厳な気のするものだつた。 明治時代の諷刺詩人、斎藤緑雨は十二階に悪趣味そのものを見出してゐた。浅草文庫 「大東京繁盛記 下町篇 本所両国」 芥川龍之介 1927(昭和2)年5月
関東大震災・吉原遊郭(新吉原)・凌雲閣(浅草十二階) - 「生い立ちの記」 小山清 1954(昭和29)年10月1日震災の当日、その時びっくりして戸外に飛び出した私の目に、八階から上が折れてなくなった、浅草公園の十二階の無慙な姿が映った。私の家は吉原遊廓のはずれにあって、家の前の広場からは、浅草公園の十二階がよく見えた。 その日、私の一家はみんなばらばらになった。私と花やという女中が上野
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