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浅草広小路 - 「大東京繁盛記 下町篇 雷門以北」 久保田万太郎 1927(昭和2)年6月30日-7月16日

  • 執筆者の写真: 浅草文庫
    浅草文庫
  • 2018年9月29日
  • 読了時間: 1分

 「さがみ屋の露地」「浅倉屋の露地」ともにそれは「広小路」と「公園」とをつなぐただ二つの……という意味は二つだけしかないかなめのみちである。そうして「さがみやの露地」には、両側、すしや、すしや、すしや……ただしくいえば天ぷら屋を兼ねたすしやばかり目白押しに並んでいる。まぐろのいろの狂爛のかげにたぎり立つ油の音の怒濤である。――が、かつてそこは、入るとすぐおもてに粗い格子を入れて左官の親方が住んでいた。その隣に「きくもと」という待合があった。片っぽの側には和倉温泉があり煙草屋を兼ねた貸本屋があった。




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