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長國寺・鷲神社・浅草酉の市・吉原遊郭(新吉原) - 「如何なる星の下に」 高見順 1939(昭和14)年1月-1940(昭和15)年3月

  • 執筆者の写真: 浅草文庫
    浅草文庫
  • 2018年11月6日
  • 読了時間: 1分

 吉原病院の方へ抜けて、吉原に入った。仲の町は、お酉さまへ行く人、帰りの人で、ごった返していた。「角海老」の前庭を、素人の女たちが、見物するのはこの時とばかりに、ひやかしの男に混ってゾロゾロと通り抜けている。そういう場合どういうものか、惨めな側にすぐ自分の心を置く癖の私は、――同じ女と生れてきながらいかなるめぐり合わせか、自分のせいではなく苦界に身を沈めねばならなかった女が、同じ女に、のんきそうに遊んでいる女に見物される苦しみを考えると、それはあまり気持のいい風景ではなかった。





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