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仲見世 - 「妖術」 泉鏡花 1911(明治44)年2月

  • 執筆者の写真: 浅草文庫
    浅草文庫
  • 2018年9月23日
  • 読了時間: 1分

 鼠の鍔をぐったりとしながら、我慢に、吾妻橋の方も、本願寺の方も見返らないで、ここを的に来たように、素直に広小路を切って、仁王門を真正面。  濡れても判明と白い、処々むらむらと斑が立って、雨の色が、花簪、箱狭子、輪珠数などが落ちた形になって、人出の混雑を思わせる、仲見世の敷石にかかって、傍目も触らないで、御堂の方へ。

 そこらの豆屋で、豆をばちばちと焼く匂が、雨を蒸して、暖かく顔を包む。




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