浅草名産・銘菓 - 「鴎外の思い出」 小金井喜美子 1955(昭和30)年10月
- 浅草文庫
- 2018年10月2日
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更新日:2018年10月3日
握飯はいつも二つでした。一つには玉子を、今一つにはめそを入れます。めそのことは人があまり知らずに、小魚などといいますが、鰻のごく細いのです。それは肴屋でなくて、八百屋が持って来ました。開いて串に刺して、白焼にしてあるのを辛味に煮て入れますが、いつまでも飽いたといわれませんのは、きっと油濃くないからでしょう。
見ている私は浅草海苔をざっと焼いて、よいほどに切って、握飯を包むのでした。何かの都合でお弁当が残った日などは、弟が喜んでいただきました。
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