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浅草名産・銘菓 - 「鴎外の思い出」 小金井喜美子 1955(昭和30)年10月

更新日:2018年10月3日

 握飯はいつも二つでした。一つには玉子を、今一つにはめそを入れます。めそのことは人があまり知らずに、小魚などといいますが、鰻のごく細いのです。それは肴屋でなくて、八百屋が持って来ました。開いて串に刺して、白焼にしてあるのを辛味に煮て入れますが、いつまでも飽いたといわれませんのは、きっと油濃くないからでしょう。

 見ている私は浅草海苔をざっと焼いて、よいほどに切って、握飯を包むのでした。何かの都合でお弁当が残った日などは、弟が喜んでいただきました。


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浅草の食・浅草名産・銘菓 - 「鴎外の思い出」 小金井喜美子 1955(昭和30)年10月

小路を這入った処に小料理屋があって、新栗のきんとんがおいしいというので、その時節にはよく立寄りました。お留守をした人におみやげにするのです。五重塔のある側に綺麗なお汁粉屋があって、そこのお雑煮のお澄ましが品のいい味だというので、お母様は御贔屓でした。お兄さんは、お餅が小さくて腹

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