馬車鉄道・路面電車 - 「妖術」 泉鏡花 1911(明治44)年2月 やがて、心着くと標示は萌黄で、この電車は浅草行。 一帆がその住居へ志すには、上野へ乗って、須田町あたりで乗換えなければならなかったに、つい本町の角をあれなり曲って、浅草橋へ出ても、まだうかうか。 もっとも、わざととはなしに、一帳場ごとに気を注けたが、女の下りた様子はない。 で、そこまで行くと、途中は厩橋、蔵前でも、駒形でも下りないで、きっと雷門まで、一緒に行くように信じられた。浅草文庫 「妖術」 泉鏡花 1911(明治44)年2月
やがて、心着くと標示は萌黄で、この電車は浅草行。 一帆がその住居へ志すには、上野へ乗って、須田町あたりで乗換えなければならなかったに、つい本町の角をあれなり曲って、浅草橋へ出ても、まだうかうか。 もっとも、わざととはなしに、一帳場ごとに気を注けたが、女の下りた様子はない。 で、そこまで行くと、途中は厩橋、蔵前でも、駒形でも下りないで、きっと雷門まで、一緒に行くように信じられた。浅草文庫 「妖術」 泉鏡花 1911(明治44)年2月
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