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浅草にまつわる、

小説・随筆・詩・俳句

 明治四十四年(一九一一)にはパンの会は段々落寞なものになつてしまつた。
 二月の十二日には浅草のヨカロウで開き、そこのかみさんが演説などした。

 同年六月五日、月。神田の新しく出来た(都とか云つた)西洋料理屋でパンの会を催した。この日には内田魯庵氏も出席せられた。ドストウエフスキイの事、甎のことなどに就いて語られたと記されてある。小山内君がどこかで酔つて来て大元気であつた。生田、島村、喜熨斗、平出、萱野の諸氏が御定連でない出席であつた。黒田、島崎両氏からはしやんと断りの葉書が来た、この二人はいつもきちやうめんだと皆で話し合つた。

木下杢太郎

1885(明治18)年8月1日-1945(昭和20)年10月15日

医学者、詩人、劇作家、翻訳家、美術史・切支丹史研究家

木下杢太郎|浅草文庫
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