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浅草にまつわる、

小説・随筆・詩・俳句

梅「南無大慈大悲の観世音菩薩……いやア巨きなもんですな、人が盲目だと思つて欺すんです、浅草の観音さまは一寸八分だつて、虚言ばツかり、巨きなもんですな。
近「そりやア仁王門だ、是から観音さまのお堂だ。
梅「道理で巨きいと思ひました……あゝ……危い。
と驚いて飛下る。
近「フヽヽ何だい、見ともない、鳩がゐるんだ。
梅「へえゝ豆をやるのは是ですか……鳩がお辞儀をして居ますよ。
近「なに豆を喰つてゐるんだ。
梅「異つたのが居りますね、頭の赤い。
近「あれは鶏鳥だ……ま此方へおで、こゝがお堂だ。

初代 三遊亭圓朝

1839(天保10)年5月13日/4月1日-1900(明治33)年8月11日

落語家

初代 三遊亭圓朝|浅草文庫
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